まちょの天体写真

東京在住 超スローペース更新

IC443 くらげ星雲

ふたごの足元のくらげです。
半月前後の4日間を使い、合計27.3時間の露出
私の最長露出時間を更新しました。
SIIは結構コントラストがでるのですが、OIIIが一番でませんね。

PixinsightのWBPPで下処理、ABE、DBEをかけてムラをとりました。
今回効果的と思ったのはTGVDenoise。Niwaさんのページを参考に解像感をなるべく落とさずかけてみたつもりです。Smoothnessを0.05と小さくしたのがポイントかもしれません。
SAOをFlatAideProを使い、AOOを10%ブレンドしました。


あと、月も明るくそもそもバリバリの光害地なので、PhotoShopにいってからムラとりを手作業で行いました。

ナローは色の正解がよくわからいですが、深海で蛍光色を発するくらげをイメージし、自分的にカッコいいとおもう色合いで仕上げました。

20210224_IC434_ver2


撮影対象  :IC443 くらげ星雲(ふたご座)
撮影日時  :2021/2/16,17,18,19,20
撮影地   :東京都港区
光学系   :CCA-250(1250mm)
架台/ガイド:EM-400/ SX-Lodestar X2 オフアキ
カメラ   :QHY16200A
露光データ :SII:10分*58(580分) Ha:10分*54(540分) OIII:10分*52(520分)合計 1640分
画像処理  :PixInsight(WBPP、DynamicCrop、ColorConbination,MLT、ABE、DBE,TGVDenoise ,STF,HT,Arcsinh Stretch)、Flat Aide Pro(AOOブレンド)、Photoshop2021(レベル補正 ムラとり)


画像の位置と、CCDの位置関係をたしかめた

機材使いこなし訓練の第2弾です。

今回はCCDの画面上で、上下左右はCCDの素子のどこの部分なのか確かめてみました。

なぜこのようなことを調べるのかというと、今後スケアリング調整を行ったときに、PC画面と実際のCCDのピクセルの位置の相対関係を知っておくと調整がしやすくなるからです。
今の私のCCA250+QHY16200Aのシステムで、隅の星像が気になるってわけではないんですが、今後のために行いました。

やり方はK-Astecのスケアリン調整機構についていたマニュアルの方法にならいました。
まず厚紙を用意し接続部分の直径で切り出します。私の場合は52mmの紙を切り出しました。
そして、目印として、4つの方向に、ピンホールの穴を1つ、2つ、3つ、4つとあけます。
穴は縫い針でつくりました。最初写真にあるように思いっきり4隅にあけました。
実際やってみると、この位置での穴は端っこすぎました。
IMG_2594


私のQHY16200Aは、テーパーの3か所留めで鏡筒に接続しているので、今回は鏡筒側にテープで簡単に止めて、鏡筒を接続します。一度撮影してみると真っ暗。穴の位置が悪いようです。

CCDの四隅にあたる場所に穴がないと画像に移らないので、穴を内側にあけなおしました。
IMG_2595


そしてフラット撮影の要領で撮影します。
pinhole
すると、上のような画面が得られました。ピンホールの穴からCCAの副鏡とスパイダーの像ができています。
これをみると、PC画面上では左上が4つ、右上が3つ、左下が1つ、右下が2つ像があります。

以上をもとにQHY16200Aを正面からみたときとの関係を作図しますとこのようになります。

スケアリング調整



これを知っておくと、画像の星像から、傾きがわかったあと、どの位置をなおせばよいのかすぐに判断できるわけです。


なお、K-astecのスケアリング調整機構の押ネジのピッチは0.75なので、0.2mmが約1/4回転(90°)になると説明書にあります。
例えば、Aの隅が、中心位置から0.1mm手前でピントが合っている場合は、Aの位置の調整ネジを0.2mm押して調整します。
ネジを調整したい量の2倍押し出すのは、写野の中心から押ネジまでの長さは、中心からAまでの長さの約2倍と見積もってのことです。

今後時間があったらじっくりスケアリング調整に挑んでみようかと思います。


QHY16200Aのゲインとオフセット

質の良い天体写真は質の良いデータから。
質の良いデータは、装置をつかいこなすことから。

ということで、冷却CCDをつかいこなすべく、ゲインとオフセットをきっちり決めることとしました。
私のいままでの撮影データはGain 0 Offset 130でした。なぜかというと、マニュアルにデフォルト値として記載されていたからです。

昨日までは、ゲイン?オフセット?それっておいしいの?状態の私の考察ですので、温かい目で見守ってください。

情報ソースは
「how to scientifically determine CCD gain and offset」
というネットで見つけた解説です。検索で容易に見つかると思います。
これを自分なりに追試してみました。

最初にちょっとGainを調べてみると、海外のユーザーでgainは1にしているという人を数人見つけたので、Gainは1に。また、Offsetだけちょっと先にしらべてみて、Offset120くらいでバイアスの下限がゼロにならないということで、今回の追試は
Gain 1 Offset120
を基準として始めることとしました。

撮影はMaximDL、画像全体の最大値、平均値、最小値の計測はMaximDLのInformationウインドウで行いました。
20210215fig8


手順1 
現在の設定Gain 1 Offset120で、飽和するカウント値を計測します。
一定なライトの下、複数の露出を設定し、いつ飽和するのかを計測してみます。
光源にはGeoptik Flat Generatorの上に乳白色のアクリル板を置いてをつかいました。鏡筒は接続しませんでした。CCDのスケアリング調整機構のところにアクリル板、Flat Generatorをくっつけました。


最初の手順はCCDの温度は室温です。

20210215fig1


露出は0.02から2倍、2倍で設定しました。
露出1.28秒以降はほぼ横ばいになりました。その時のカウントは大体63000カウントくらいです。
16bitの最大値は65535カウントなので、大体その2500カウント手前で飽和しています。
つまりこの設定は上限近くの2500カウント使いきれていませんでした。
最大限ダイナミックレンジを確保する設定が目標なので、Gainはもうすこし大きくてもよさそうです。
なぜ63000くらいでカウントが上がらないのかというと、ピクセルの許容電子数(フルウェルキャパシティ)がいっぱいになっているのです。一つのピクセルにはこれ以上電子を貯められません。

フルウェルキャパシティ一杯になったときにだいたい65535カウントになるように設定できれば、最大限のダイナミックレンジをつかえることになります。
そこで、ゲインを変化させます。
ゲインを大きくすると、1電子増えたときのカウント値が大きくなります。
補足 仕様によると、QHY16200Aは40000がフルウェルキャパシティ、0.7e/ADUが最大の係数です。

手順2
65535カウントに飽和するGainの値を決める。

手順1で現状のGain 0では1.28秒の露出で飽和することがわかりました。
ここでGainをすこしずつ上昇させ、飽和が65535になるGain値を求めます。
20210215fig2


その結果Gain 5で65535にちょうど至ることがわかりました。
これを仮に決めたGain値とします。

手順3
仮に決めたGainに対する、オフセットの値を決める。
オフセットの値を、なるべく低く。ただし、バイアスフレームの最小値が0を下回らないように設定します。フラット光源を切り、バイアスを取得します。
得られるバイアスの平均値は500から1000で、minimumは0以上が理想との事。
20210215fig3

計測の結果から、オフセットは118が適しているとしました。


手順4
再びゲインを計測する。
オフセットとゲインはカウントに相互に影響しあうということなので、今度は逆にオフセットを固定しゲインをもう一度計測します。
手順3でフラット光源を一度消してしまったので、光量のボリュームがどこだかわからなくなりました。
もう一度ちょうど飽和になる露出も求めます。

20210215fig5

ここでは1秒で飽和になりました。

そして、露出を1秒とし、ゲインを変化させてみます。

20210215fig6

飽和に至るゲインはグラフを見ると、3から4くらいでグラフが平らになります。
このゲインの値で、フルウェルキャパシティの飽和に至った時に、カウントの最大値に一致していると言えるでしょう。
つまり、ゲイン3から4くらいでダイナミックレンジをほぼ最大限につかえていることになります。

一方で、参考にした論文によると、ピクセルはフルウェルキャパシティがいっぱいになる直前では線形性が崩れるそうです。
フルウェルキャパシティが飽和近辺の線形性が低いところは取り除き、線形性が高いところをデータとして得ようとするならば、
ゲインをわずかに高く設定し、フルウェルキャパシティいっぱいになる前に、カウントが飽和している方が線形性が高くなると言えます。

なので、今回はゲインを4とすることに決めたいと思います。

20210215fig7

以上、私のQHY16200Aの最適な値は、Gain 4、 Offset 118と決定することにします。
とりあえず、これでしばらく運用してみます。


20210104 かに星雲SAO

ハッブルパレットのかに星雲だ。初めての撮影対象。
CCA-250のエクステンダーシステムのファーストライト。

切り抜いております。
20210104_M1


撮影対象  :M1 かに星雲(おうし座)
撮影日時  :2021/1/4,5
撮影地   :東京都港区
光学系   :CCA-250 Extender(1880mm)
架台/ガイド:EM-400/ SX-Lodestar X2 オフアキ
カメラ   :QHY16200A
露光データ :SII:10分*7(70分) Ha:10分*7(70分) OIII:10分*7(70分)合計 210分
画像処理  :PixInsight(キャリブレーション、インテグレーション、ストレッチ)、Photoshop2021(レベル補正)

今回の苦労はDeconvolutionとノイズ処理だった。
DeconvolutionのStarMaskのところで、あれこれ自己流にやったけど、良くなかった。結局Default。
輝星だけがカバーできればいいみたい。
あと、ノイズ処理のマスクをザラザラなのをかぶせてやったら、やはりザラザラに。当たり前を痛感。
でも、かに星雲みたいな対象はL画像のDeconvolutionでキュッと締まる感じがして効果が楽しめる。

失敗作はこれ。星のまわりに黒いデリンギングが。
20210104_M1_SAO



ナローバンドのIC434 馬頭星雲

東京からのナローバンド、馬頭星雲です。

202120103_馬頭星雲

撮影対象  :IC434 馬頭星雲(オリオン座)
撮影日時  :2020/12/20,21,22
撮影地   :東京都港区
光学系   :CCA-250(1250mm)
架台/ガイド:EM-400/ SX-Lodestar X2オフアキ
カメラ   :QHY16200A
露光データ :SII:10分*20(200分) Ha:10分*20(200分) OIII:10分*18(180分)合計 580分
画像処理  :PixInsight(キャリブレーション、インテグレーション、ストレッチ)、Flat Aide Pro(フリンジ低減、色相調整)、Photoshop2021(フリンジ低減、レベル補正)




年末と自粛ムードで家にいる時間が長いので、3晩かけて撮影した。
撮影環境は、天頂は大丈夫だけど、東西は建物があるので、子午線はさんで5時間くらいが最大。
合計10分×135枚撮影し、58枚使用し、77枚除外(雲やら、建物やら)。
除外の方が多いという事実、、、、。

撮影の手順
1 機材セット。鏡筒を西向きで設置。
2 Polemasterで極軸合わせ
3 なんかの星でフォーカスあわせ。
4 フラットを撮ってしまう。

5 MaximDLのPinpoint astrometryでプレートソルビング。
6 対象天体導入。子午線通過前から撮影するので、自動導入はしない。AscomTemmaの赤経、赤緯を見て合わせる。
7 ガイド鏡のキャリブレーション
8 画角の粗調整。Haのビニング4の30秒で星雲を確認。
9 画角の微調整。画面内の明るめの星を基準にLのビニング4の1秒で微調整。
10 Ascom Temmaドライバで赤道儀を止める時間をセット
11 オートガイド開始
12 撮影開始


撮影の振り返り
3晩で、フォーカスは変えませんでした。いちいちフラット取り直すのも面倒なので。(この辺が悪い自分の性格)
CCAの伸縮の少ないカーボン鏡筒の性能の良さに頼っております。
フォーカス微調整しても同一フラットでいけるのかな。


画像処理の工程

Pixinsight 
1 WBPPでバイアス、ダーク、フラットのキャリブレーション。CosmeticCollectionまでやる。
2 Process ContainerとImage Conainerを用いて、個別にDynamic Crop→ABE(Automatic Background Extractor)Function degree 1 → ABE Function degree 2。
3 WBPPでSubframe SelectorとImage Registration、Image Integration。
4 Channel CombinationでSAO合成。
5 Channel ExtractionでLを抽出。
6 L画像にDeconvolution(DynamicPSFでを計算ExternalPSFでDeconvolutionに設定、Range Selectionでマスクを作成して暗部を保護。
7 Channel CombinationでLab画像合成

8 なんかここで、周辺にカブリがありそうにみえたので、もう一度ABEした。

9 STF(Screen Transfer Function)とHT(Histgram Transformation)でストレッチ。
10 Arcsinh Stretchでさらにストレッチ。
11 TIFFで保存。

FlatAidePro
12 マゼンダフリンジの低減。SAOのカラーマッピングで色調を変更。

Photoshop 
13 Camera RAWフィルターでマゼンダフリンジ低減。
14 レベル補正で最終調整

画像処理の振り返り
2 そーなのかーさんのブログで知った。すばらしいです。感謝。
5 でDeconvolutionはLだけでいいのかな?
8 これはやるべきかな?
9 Niwaさんのブログにあったが、ここはマイルドにストレッチした方がよいのでは?
10 いままでつかってみたことがあるストレッチがArcsinh Stretchしかないから。他のも試す余地あり。

画像処理は研究の余地がありありだ!

なお、3年前に撮影したSAOの馬頭星雲はこちら
馬頭星雲SAO合成2色補正

このときよりはだいぶ良くなったな。


ギャラリー
  • 2022年に撮ったもの
  • 2022年に撮ったもの
  • 2022年に撮ったもの
  • 2022年に撮ったもの
  • 2022年に撮ったもの
  • 2022年に撮ったもの
  • 北アメリカ星雲 ペリカン星雲
  • LDN1235シャーク星雲
  • ε-180 光軸調整②